オレンジ色の涙

親子のこーゆーこと
せっちゃんちが奴凧とゲイラカイトなら
ワタシの場合は…自転車だったな。

補助輪ナシで自転車乗れるようになったのを見た父が
「イキにも自転車、いるな」と言ってくれたのを聞いた。
わたしの自転車
わたしだけの自転車
・・・うれしくて楽しみだった。
でもある日、学校から帰ってくると
父が中古の大人用(…に見えた)の自転車に
せっせとオレンジ色のペンキを塗ってた。
ワタシが欲しかったのは
前カゴにリカちゃんが付いてるようなヤツだったから
その自転車と父を見て泣きそうになった。
実際、泣いてたかもしれない。


そんなわたしを見て
ペンキを塗ってる父の顔が
だんだんと曇ってくるのが分かった。

マズいな…と子ども心にも思ったんだろう。
その時の気持ちスゴく覚えてる。
慎重に
精一杯泣き声にならないように
「乗るよ、コレに。」って言った。

「今夜、リンゴの木の下で」聴いて思い出した昔のこと。


《今度はボクがそうするんだろうな。きっとアイツに同じようなこと》

まだ、幼いジュニアの顔みながらせっちゃんが思い出した
手に入らなかったゲイラカイトと
空に上がる奴凧
嬉しそうな父の顔。
 
ワタシもやったよ、娘に。
違うのは
この娘はわたしより強かったってこと。

彼女が5歳の秋
フォルクローレバンドのNight Live
親子三人で行こうとチケット用意してた。
当日の夕方になって
楽しいお出かけになるよと嬉々として娘に話した。

娘は黙って着替えを済ましたけど
玄関で動かなくなった。
ただ行きたくないとぐずるのでなく
「ちゃーちゃんが好きでも、なぎはコレ好きじゃない。」
涙で潤んだ目で
しっかりとワタシを見てた。

この時がきっと最初なのかな。
彼女のココロのカタチをハッキリ見せられたのは。

…たじろぎましたよ。そりゃ。
保育園児なんて
赤ん坊に毛が生えたぐらいに思ってたからね。
抱えて何処でも行けると思ってた。
だから
「そんなこと言わんとさ、チケット買っちゃったんだし、行こうよ〜」なんて
大人の事情口走って
口とんがらかして
5歳児に食い下がった、私。
気迫も気品も完全に負け。
完敗でした。



父の気持ちを察して
「乗るよ」と言った娘は
今でも
父に気持ちを伝えることが苦手で
父の言葉の裏にある
本当の気持ちに手が伸ばしきれないまま。

「行かないよ」と言った娘とは
お互いに気持ち伝え合うことが
とても楽しいと感じてる。




あの自転車の時に
ワタシが突き抜けるのを怖がらなかったら…と考えてみる。


ワタシと父のブサイクな心のカタチ
お互い変わるのはナカナカ・・・
むずかしいね。



ワタシの心は
ブサイクだ。
けど
あの自転車の時よりは
ウソはない。

ウソは無いけど
あの頃の方がよかったとすこし思う。
by siriki-otona | 2012-05-17 18:35 | ハナシのはなし
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